胃がんの原因になることから、ピロリ菌は「見つかったら除菌したほうがよい」と一般的に考えられています。一方で、「除菌しないほうがよいのでは?」という意見を耳にすることもあります。なぜそのような考えがあるのでしょうか。
●ピロリ菌感染が続くとどうなるか
ピロリ菌は胃粘膜の下に潜り込み、何十年にもわたり感染が持続します。その結果、慢性的な炎症が起こり、萎縮性胃炎、胃潰瘍、腸上皮化生(胃粘膜が腸のように変化)などが生じます。これらは胃がんの前段階とされる状態です。ピロリ菌感染者は、非感染者に比べて約5~20倍胃がんになりやすいと報告されています。このため、ピロリ菌は除菌することが推奨されています。
●「除菌しないほうがいい」と言われる理由
ピロリ菌を除菌すると胃粘膜の炎症が改善し、胃は本来の状態に近づきます。その結果、除菌前より胃酸分泌が増えることがあり、ごくまれに除菌後に「逆流性食道炎」を発症する方がいます。この点から「除菌しないほうがよいのでは」と考えられることがあります。
●それでも除菌は勧められる理由
ピロリ菌は胃がんの最大の原因因子です。除菌により胃がん発症リスクは”約30~70%低下する”ことが報告されています。したがって、ピロリ菌感染が確認された場合、除菌によるメリットは非常に大きいといえます。
●除菌後も注意が必要な場合
すでに胃粘膜の萎縮や腸上皮化生が進んでいる場合、除菌後も一定期間は発がんリスクが残ります。また、除菌時点ですでに早期胃がんが存在している可能性もあります。そのため、除菌後も定期的な内視鏡検査が重要です。