胃ポリープはほとんど自覚症状がなく、健康診断で行われる上部消化管造影検査や内視鏡検査(胃カメラ)で偶然発見されることが多い病変です。胃の粘膜がいぼ状に盛り上がったものを指し、主に胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、胃腺腫(腺腫性ポリープ)の3種類に分類されます。
●胃底腺ポリープは、胃底部にある胃底腺が肥大して隆起することで形成されます。がん化のリスクは極めて低く、主にピロリ菌感染のない「きれいな胃」にみられるポリープです。発生原因は明確ではありませんが、女性に多いことから女性ホルモンとの関連が示唆されています。また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)など胃酸を抑える薬を長期間服用している場合、ポリープの数や大きさが増加することがあります。薬剤を中止すると縮小・消失することもあり、薬剤との関連が考えられています。
●過形成性ポリープは、基本的にがん化リスクは低いものの、一部ではがん化する可能性があります。特に2cm以上で特定の形態を示す場合は注意が必要です。ヘリコバクター・ピロリ菌感染のある胃に発生しやすく、胃粘膜が損傷を受けた際の修復・再生過程で細胞が過剰増殖して形成されると考えられています。慢性胃炎のある方にみられることが多く、ピロリ菌除菌により縮小・消失する場合もあります。
●胃腺腫(腺腫性ポリープ)は胃がんに進展する可能性のある前がん病変です。胃の腺細胞由来のポリープで良性腫瘍に分類されますが、異型細胞を含むため一部でがん化するリスクがあります。多くは慢性炎症や粘膜損傷に伴う過剰な再生反応が関与すると考えられていますが、発生原因は完全には解明されていません。そのため胃腺腫がある場合は、定期的な内視鏡検査による経過観察が重要です。
●胃ポリープは多くの場合無症状で、健診などの内視鏡検査で発見されます。ただし一部ではポリープ表面から出血し、貧血の原因となることがあります。また、慢性胃炎を合併している場合は胃もたれ、 胃痛、食欲不振などの症状がみられることがあります。これらはポリープ自体ではなく胃炎による症状であることが多いと考えられます。40歳以上の方、胃がんの家族歴がある方、ピロリ菌感染の可能性がある方は、定期的な内視鏡検査が推奨されます。
●胃ポリープを放置するとどうなるか
胃底腺ポリープはがん化リスクがほぼなく、通常は経過観察のみで問題ありません。一方、過形成性ポリープや胃腺腫は一部にがん化リスクがあるため、大きさの増大、形態変化、出血などがみられる場合は医師と相談し、適切な対応を検討する必要があります。
●胃ポリープの治療
胃底腺ポリープはがん化リスクが低く、自然縮小・消失することもあるため基本的に経過観察となります。定期的な内視鏡検査で状態を確認します。
過形成性ポリープは小さい場合は経過観察(年1回程度の内視鏡)が一般的です。
ただし2cm以上、出血、がん疑いがある場合は内視鏡的切除(ポリペクトミー)を行います。ピロリ菌感染があれば除菌治療を行います。
胃腺腫は腫瘍性病変のため切除が推奨されることが多いポリープです。特に2cm以上、表面発赤、陥凹形状がある場合はがん成分を含む可能性が高く、内視鏡切除を行います。小さい胃腺腫は、6か月~1年ごとの内視鏡検査で経過観察する場合もあります。