脂質異常症とは
健康診断で「コレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と指摘されても、自覚症状がないため様子見にしてしまいがちです。しかし放置すると、血管の中では静かに動脈硬化が進行し、心筋梗塞・脳梗塞・末梢動脈疾患などの重大な病気を引き起こす可能性があります。症状が出てからでは手遅れになることもあるため、早めの対処が重要です。
●脂質異常症の3つのタイプ
脂質異常症は、以下のいずれか、または複数が当てはまる状態を指します。
- LDLコレステロール(悪玉)が高い(140mg/dL以上) 肝臓から全身へコレステロールを運ぶ役割を持ちますが、増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞の主な原因となります。
- 中性脂肪(トリグリセライド)が高い(空腹時150mg/dL以上または随時175mg/dL以上) エネルギー源として体に蓄えられる脂質です。高すぎると動脈硬化を促進するほか、極端に高い場合(1,000 mg/dL以上)は急性膵炎のリスクも高まります。
- HDLコレステロール(善玉)が低い(40mg/dL未満) 血管内の余分なコレステロールを回収・除去する働きを持ちます。低すぎると血管壁にコレステロールが残りやすくなり、動脈硬化が進みます。

●放置するとどうなるか
脂質異常症はほとんど自覚症状がありませんが、血管の中では以下のような変化が着実に進んでいます。
- 動脈硬化:血管壁に脂質が沈着・炎症を起こし、血管が硬く狭くなる
- 心筋梗塞:冠動脈が詰まり、発症直後の致死率が高い
- 脳梗塞:突然の麻痺・言語障害を引き起こし、後遺症が残ることも
- 末梢動脈疾患:下肢の血管が詰まり、歩行時の痛みや壊死につながることも
- 急性膵炎:中性脂肪が極端に高い場合、激しい腹痛・嘔吐を伴う重篤な状態に
●こんな方は特に注意
- 40代以降の男性、閉経後の女性
- 糖尿病・高血圧・甲状腺機能低下症・腎臓病などの既往がある方
- 揚げ物・加工肉・甘い飲み物・アルコールを多く摂る方
- 運動不足や喫煙習慣がある方
- 家族に脂質異常症・心筋梗塞・脳梗塞の方がいる方
- 若い頃からLDLが高い方(家族性高コレステロール血症の可能性)
●予防・改善のために
食事の見直し
- 白米・パン・麺・甘い飲み物など糖質のとりすぎを控える
- 揚げ物・加工肉・バターを減らし、青魚・オリーブオイル・ナッツを取り入れる
- 野菜・海藻・きのこなど食物繊維を積極的に摂る
- アルコールを控える
- 食べる順番は「野菜→たんぱく質→炭水化物」を意識する
運動習慣
- ウォーキングなどの有酸素運動を週150分以上を目標に
- スクワット・腕立てなどの筋トレを週2~3回
- 1時間に1回は立ち上がり、座りっぱなしを避ける
●薬物療法が必要なケース LDLコレステロールが160~180mg/dL以上、家族性高コレステロール血症の疑い、糖尿病・高血圧・喫煙などのリスクがある方、心筋梗塞・脳梗塞の既往がある方などは、生活習慣の改善だけでなく薬による治療が必要となる場合があります。
●まずは血液検査を
脂質異常症は「気づかないうちに進む病気」です。今は何も感じていなくても、定期的な血液検査でコレステロール・中性脂肪の状態を確認し、早めに対策を始めることが、将来の重大な病気を防ぐ第一歩となります。気になる方はお気軽にご相談ください。